銅管による<I>Cryptosporidium parvum</I>オーシストの感染性不活化

書誌事項

タイトル別名
  • Inactivation of <I>Cryptosporidium parvum</I> Oocysts in Copper Tubing
  • 銅管によるCryptosporidium parvumオーシストの感染性不活化
  • ドウカン ニ ヨル Cryptosporidium parvum オーシスト ノ カンセンセイ フカツカ
  • Inactivation of Cryptosporidium parvum Oocysts in Copper Tubing

この論文をさがす

抄録

本研究では金属銅を含む7種類の材質の給水用配管にCryptosporidium parvumのオーシストを含む滅菌水を充填し, 24時間後に回収したオーシストの乳飲みマウスへの感染性に及ぼす不活化効果を比較検討した. 銅管によるオーシストの感染性不活化率は-1.303logと有意な効果を示した. 一方, その他の金属およびプラスチック系配管による感染性不活化率は, ポリブテン管で最大-0.313logを示したものの, いずれも有意な効果とは認められなかった. また, 銅管から回収されたオーシストの変性率は, その他の被検管から回収されたオーシストのそれに比べて高く最大25%を示した. 銅管から溶出した2.4mg/Lの銅イオン (Cu2+) を含む滅菌水には感染性不活効果を認めなかった. このことから, 銅管は他の材質の配管と異なりクリプトスポリジウムの感染性を不活化する性質を有するが, その効果は水中に溶出するCu2+では得られないことが明らかになった. 次に, 銅板を用いたフィルム密着法によって金属銅のオーシストに及ぼす細胞傷害作用を検討した. 銅板に直接接触したオーシストは細胞傷害に伴って26-29%が変性し, その銅板の表面には0.5mg/Lの過酸化水素 (H2O2) を検出した. しかし, 銅板の上に溶出したCu2+が通過できるようなフィルターをのせた場合, あるいは銅板の表面にカタラーゼを添加した場合, そのような細胞傷害を伴う変性はほとんど認められず, H2O2もB検出されなかった. これらの成績から, 銅管によるオーシストの感染性不活化効果はその金属銅表面に生成されるH2O2とCu2+の相互反応によって生ずる酸素酸化物質の細胞傷害作用によってもたらされている可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 80 (4), 377-382, 2006

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (17)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ