沖縄県におけるHBe抗原・抗体に関する疫学的研究

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タイトル別名
  • Epidemiological Studies on Hepatitis Be Antigen and Antibody in Okinawa
  • オキナワケン ニ オケル HBe コウゲン コウタイ ニ カンスル エキガクテ

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抄録

沖縄県におけるHBV感染の実態を調査する目的で, 妊婦を中心としたキャリアのHBe抗原, 抗体系の調査を実施した.<BR>妊婦のHBs抗原陽性率は3.3%と高率であったが, これらキャリア妊婦におけるHBe抗原陽性率は6.3%で, 母児間感染予防の対象となる児の出産数は他地域に比べ少ないものと推定された.また, 10歳未満の小児で, HBs抗原, 抗体陽性率がともに1%前後と低率であったことより, 沖縄県においては, 現在垂直感染, 水平感染がともに急速に減少しているものと思われた.<BR>一方, HBVキャリア全体の年齢別のHBe抗原, 抗体の陽性率をみると, 10歳未満では全例がHBe抗原陽性であるが, 年齢の上昇とともに陽性率が低下し, 10代の後半から20代の前半にかけて陰転化のピークを認め, 30歳以上では, 90%以上のキャリアがseroconversionしていた.そして, このことは沖縄県の慢性肝疾患の死亡率が低いことと関連しているものと思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 60 (12), 1261-1267, 1986

    一般社団法人 日本感染症学会

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