三次医療機関に入院した市中菌血症の臨床・微生物学的解析

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical and Microbiological Analysis of Community-acquired Bacteremia Admitted to a Tertiary Teaching Hospital
  • サンジ イリョウ キカン ニ ニュウイン シタ シ ジュウ キンケッショウ ノ リンショウ ・ ビセイブツガクテキ カイセキ

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抄録

【目的】市中菌血症 (community-acquired bacteremia,CAB) の特徴を解析した.【方法】 2009 年 1 月~ 2011 年 9 月に佐賀大学医学部附属病院で CAB と診断された患者を対象に,後方視的に CAB の原因微生物と侵入門戸,患者背景と合併症を調査し,死亡に関連する因子を解析した.【成績】患者 185 名が CAB と診断され,192 の菌株が血液培養から検出された.グラム陽性菌は 81 菌株 (42%) で,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA) が 9 例 (11%) であった.グラム陰性菌は 111 菌株 (58%) で,腸内細菌群が 80 %程度を占め,ESBL(extended-spectrum β-lactamase) 産生菌は5 例 (5%) であった.侵入門戸は腹腔感染症が 54 例 (29%) と最も多かった.20 例が死亡し,基礎疾患として好中球減少症が生存例に比べ死亡例で多かった (30%対3%,p<0.001).また死亡例では,生存例と比較し,敗血症性ショックに陥った例が多く (45%対14%,p=0.002),CAB による合併症は生存例に比べ死亡例で多かった (50%対25%,p=0.017).原因微生物や侵入門戸で明らかに死亡に関連した因子はなかった.【結論】今回の調査で原因微生物の急速な耐性化はなかったが,今後 ESBL 産生菌等の耐性菌の出現に注意すると共に,治療方針の決定には患者背景や発症時の重症度,合併症を考慮する必要がある.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 87 (1), 6-13, 2013

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (27)*注記

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