キニーネおよびMP錠の治療により黒水熱に陥った熱帯熱マラリアの1例

書誌事項

タイトル別名
  • Black Water Fever Associated with Quinine-MP Therapy of a Malaria Patient

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説明

熱帯熱マラリアの患者にキニーネとMP錠 (sulfamonomethoxine 250mgとpyrimethamine 12.5mgの合剤) による治療を開始したところ, 黒水熱といわれる重篤な状態に陥った最近では稀なものと思われる症例を経験した. 症例は34歳の男性で, アフリカから帰国後, 40℃ の高熱と全身倦怠感をきたし, 黄疸が出現したため入院した. 末梢血塗抹標本に熱帯熱マラリア原虫が多数認められたため, キニーネ500mgおよびMP錠4錠の経口投与を開始したところ, 数時間後から意識障害, 褐色尿が出現した. 翌朝には原虫数は著減していたが, 意識混濁, 黒色尿, 黄疸の増強, 軽度の腎機能障害がみられ, ヘモグロビン量の低下, LDH, ビリルビン値の上昇, ヘモグロビン尿などが認められ, いわゆる黒水熱の状態となった. 頻回の嘔吐のために経口投与ができなくなったため, キニーネ点滴静注を行なったところ, 翌日には意識清明となり, 原虫は消失し, 黄疸も改善し完治せしめることができた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 60 (7), 707-710, 1986

    一般社団法人 日本感染症学会

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