手術患者において検出された細菌の動態に関する一考察

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タイトル別名
  • Basic Studies of Changes of Bacteria Isolated from Surgical Patients
  • シュジュツ カンジャ ニ オイテ ケンシュツサレタ サイキン ノ ドウタイ ニ

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説明

外科病棟における術後感染の様相を知る為の基礎的研究のひとつとして, 消化器手術患者の身体各部位における菌の動態を明らかにすることを目的として細菌学的検索を行った. 11例の対象について術前から退院まで経時的に身体各部位から検体を採取した結果, 以下の知見を得た.<BR>1) 検体総数493, 検出菌総株数761であった. 部位別にみると, 鼻腔でG.N.R.は検出菌のうちの12.7%を占め, 同様に咽頭13.5%, 喀疾17.2%, Staph. aureusが各々順に18.2%, 4.6%, 7.6%, 検出された. 術創・ドレーン排液からはStaph. aureusが28.2%・35.3%, G.N.R. が17.9%・35.3%検出された.<BR>2) 鼻腔, 咽頭細菌叢の術前後の変化をみると, 術後1病日に正常細菌叢のみの検体が術前より減少, Staph. aureus, G. N. R., 等が増加した.<BR>3) 鼻腔では, 経鼻胃内カテーテル挿入側に先ずStaph. aureus, P. aeruginosa等が検出され, カテーテル挿入と鼻腔内細菌叢の変化に関連性が認められた.<BR>4) P.aeruginosaを複数部位から検出した者は4例で, その全例が糞便中に同菌を認めた. 術後検出されたP. aeruginosaは部位は異っても同一患者においては血清型・薬剤感受性パターンが同一であった.<BR>5) Staph. aureusを複数部位から検出した者は6例で, その全例に共通の部位は鼻腔であった. 手指に検出した4例中2例は鼻腔・咽頭・喀疾・糞便中の同菌のコアグラーゼ型・薬剤感受性パターンも同一であった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 57 (3), 219-230, 1983

    一般社団法人 日本感染症学会

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