小児におけるインフルエンザHA ワクチン接種量変更による 効果と安全性の検討

書誌事項

タイトル別名
  • A Study on the HA Amount of HA Influenza Vaccination on Efficacy and Safety inInfants
  • ショウニ ニ オケル インフルエンザ HA ワクチン セッシュリョウ ヘンコウ ニ ヨル コウカ ト アンゼンセイ ノ ケントウ

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説明

小児におけるインフルエンザ HA ワクチンの年齢別 1 回接種量の規定を見直す基礎資料を得る目的で,WHO 推奨用量と同一の年齢別接種量に増量した場合の有効性,安全性を検討した.国内で承認されているワクチンとして阪大微生物病研究会製,対照群としてサノフィパスツール社製を用い,6 カ月~ 13 歳未満児を対象に 0.25mL 接種群と 0.5mL 接種群を設定し,罹患状況,副反応発現状況等を調査し,接種前,2 回接種後の HI 抗体価を測定した.また,HI 抗体価の結果を補完するため中和抗体価を測定した.その結果,A/H1N1 型のHI 抗体価は両接種群でビケン製,サノフィ製ともに良好な上昇傾向を示し,中和抗体価も同傾向を示した.A/H3N2 型の HI 抗体価はビケン製では全体に低値であったが,中和抗体価はビケン製,サノフィ製とも良好な上昇傾向を示した.B 型の HI 抗体価はビケン製,サノフィ製とも顕著な上昇傾向を示さなかったが,中和抗体価はともに良好な上昇傾向を示した.当該シーズンのインフルエンザ流行が A/H1N1 型のほぼ単独流行であったことから A/H1N1 型について発症に関する要因解析を行ったところ,発症リスクを下げる要因として接種後HI 抗体価が 40 倍以上に上昇していることが有意となった.また,接種後 HI 抗体価 40 倍以上上昇群に対する同 20 倍以下群の発熱に関する相対危険が有意に高く,抗体価の高い群で発熱の程度が抑制される傾向がみられたことから,本研究の接種量で用いた両ワクチンとも発症予防効果を有すると認められ,さらに接種時に重篤な副反応の発現を認めず,同等の安全性を有すると考えられた.以上のことから,小児に対してインフルエンザ HA ワクチンを WHO 推奨用量で接種した際の有効性,安全性を確認することができた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 87 (2), 195-206, 2013

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (18)*注記

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