緑膿菌感染に対する非特異的感染防御能に関する研究

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タイトル別名
  • Phagocytosis of polymorphonuclear leukocytes against <I>Pseudomonas aeruginosa</I>
  • 緑膿菌感染に対する非特異的感染防御能に関する研究--ヒト白血球の緑膿菌食菌作用について
  • リョクノウキン カンセン ニ タイスル ヒ トクイテキ カンセン ボウギョノウ
  • Phagocytosis of polymorphonuclear leukocytes against Pseudomonas aeruginosa
  • ヒト白血球の緑膿菌食菌作用について

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抄録

緑膿菌感染防御機構を生体の非特異的感染防御機構である好中球の食菌作用の面から解明を試みた. ヒト好中球の食菌作用に及ぼす抗体・補体・および緑膿菌の内毒素, 菌体外酵素の影響, さらに実際に高度免疫抗緑膿菌グロブリン (OEP-HA価256倍) のヒト好中球の緑膿菌食菌作用に及ぼす影響についても検討した.<BR>血清型G群緑膿菌由来のLPS (Lipopolysaccharides) はG型菌食菌作用を抑制したが, C群菌, E群菌に対しては食菌作用抑制はみられず, 型特異性が示された. 一方OEP (Original Endotoxin Protein) はLPSに比べその抑制作用は軽く, 型の異なる緑膿菌を用いても差はなく型特異性はみられなかった.<BR>elastase, protease, slimeも好中球の緑膿菌食菌作用を抑制した. とくにelastaseの作用は顕著でヒト血清を用いてみた補体への影響においてもelastaseが最も強く補体を失活した. 好中球の緑膿菌食菌作用は, 補体の存在下で緑膿菌OEP抗体により増強され, それは抗体の吸収により低下を示した. なおこの作用は添加血清を非働化し補体を失活させても低下した. またこの活性経路は主にalternate pathwayによることが推察された.<BR>高度免疫抗緑膿菌グロブリンはopsoninとして添加したヒト血清のOEP抗体価が低い時は好中球の緑膿菌食菌作用を増強したが, 添加血清のOEP抗体価が高くなるとグロブリン効果は乏しかった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 56 (4), 320-334, 1982

    一般社団法人 日本感染症学会

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