薬局サーベイランスによる水痘患者数推定の評価

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タイトル別名
  • Evaluation of the Number of Varicella Patients Estimated by Prescription Surveillance
  • ヤッキョク サーベイランス ニ ヨル スイトウ カンジャスウ スイテイ ノ ヒョウカ

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抄録

目的:水痘患者数を正確かつ迅速に把握することは,ワクチン定期接種や天然痘によるバイオテロ対策等において重要である.薬局サーベイランスは,インフルエンザや水痘等の治療薬の処方せん枚数から各疾患の患者数を推定し,都道府県,年齢群毎の推定患者数をリアルタイムに公開している.しかし,水痘患者数推定の正確性については,他に同様の正確な推定が存在しなかったため,これまで正確な検証が行われてこなかった.本稿では,全国の全医科電子レセプトの情報(NDB)を用いて薬局サーベイランスによる水痘患者数推定の評価を行い,その推定の調整を検討した. 方法:2010 年4 月から2013 年3 月までを期間として月毎の患者数を用いた.NDB での患者数と薬局サーベイランスによる推定患者数から乖離率を計算した.また,期間全体を通しての比較から薬局サーベイランスによる推定患者数の調整を行った.さらに,より細密な調整を行うために月毎の調整も行った. 結果:NDB での患者数と薬局サーベイランスによる推定患者数の,全期間通しての乖離率は48.00%であった.期間全体を通しての調整によって乖離率は11.49%となり改善したが,特定の月で大きな乖離がみられた.月毎の調整によって乖離率は4.33%となり大幅に改善したが,特定の月での大きな乖離はみられなかった. 結論:薬局サーベイランスによる水痘患者数推定において,NDB での水痘患者数に対する過大推定の程度は月毎に異なるため,月毎に調整を行うことで,両者の乖離率が大幅に改善した.薬局サーベイランスから日々公開されている全国の水痘の推定患者数に対して,NDB のデータを用いて計算した月毎の調整率で調整を行うことで,薬局サーベイランスの迅速性にNDB の正確性を組み合わせた情報が公開でき,公衆衛生の向上に貢献できると考えられる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 89 (1), 23-29, 2015

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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