MRSA発生と使用抗菌薬の関連性

書誌事項

タイトル別名
  • Genesis of Methicillin-resistant <I>Staphylococcus aureus</I> and Selective Antibacterial Injection Pressure
  • MRSA ハッセイ ト シヨウ コウキンヤク ノ カンレンセイ
  • Genesis of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus and Selective Antibacterial Injection Pressure

この論文をさがす

抄録

当院では1998~2000年でmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) が増加し, この事にcefazolinが関連することを前回報告した. 2001~2003年ではMRSAが減少し, このMRSAの増減に関連する使用抗菌薬について1998~2003年で検討した.MRSAは1998~2000年では外科系病棟 (外科系) と内科系病棟 (内科系) が共に増加したが2001~2003年では外科系のみが減少していた. MRSAと抗菌薬の相関はペニシリン系薬と弱い負の相関, セフェム薬, カルバペネム薬と正の相関を示し, 単剤ではcefazolinが相関係数 (R) 0.45 (p<0.001) と最も高い相関を示した.重回帰分析で外科系とMRSA減少期でのMRSA患者数を求める回帰式の独立変数としてcefazolinとカルバペネム薬が選択された.MRSA増加期ではcefazolinだけが選択されたがこれはカルバペネム薬も共に増加したためと考えられた.病院全体とMRSA増加期と減少期の重回帰式の寄与率からMRSA患者数の約50%に独立変数の抗菌薬が関連すると考えられた. cefazolinは外科系では主に予防投与に使われ, 最も使用量が多い薬剤である. 内科系では外科系の約1/5量の使用量であった. カルバペネム薬は内科外科系がほぼ同量であるがMRSAとの相関は内科系R=0.21 (p<0.1), 外科系R=0.38 (p<0.005) とcefazolinが多い外科系で有意な相関を示した. 今回の検討からMRSAの増減にcefazoりinとカルバペネム薬が関連し, カルバペネム薬はcefazol inの使用量が多いときに有意な相関を示したことからMRSAはcefazolin投与後にカルバペネム薬を投与すると有意に選択されることが示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 81 (4), 370-378, 2007

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (16)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ