根治的前立腺摘除術における自己血輸血62例の検討

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  • THE USE OF PREDEPOSITED AUTOLOGOUS BLOOD TRANSFUSION FOR RADICAL PROSTATECTOMY

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抄録

(目的) 自己血貯血を行った上で, 根治的前立腺摘除術を施行した症例について, その有用性および適正な自己血貯量を retrospective に検討する.<br>(対象と方法) 1997年10月から2000年3月までに, 自己血貯血を行った上で根治的前立腺摘除術を施行した62例を対象とした. 貯血量は800mlか1,200mlを選択とし, 週1回400mlの単純貯血法で貯血を行った. 貯血後にエリスロポエチン24,000単位を皮下注, 期間中, 鉄剤200mg/日を経口投与した. 手術は全例, 恥骨後式で行い, 出血量, 輸血量から検討を行った.<br>(結果) 全例で予定の貯血期間内に目標貯血量を達成できた. その結果, 62例中58例で同種血輸血を回避でき, 同種血輸血回避率は93.5%であった. また, 自己血200mlを1単位とすると, 330単位中104単位が破棄され, 自己血破棄率は31.5%となった. 破棄率の低下のため, 術前に出血量を予想できるパラメーターがないか検討したところ, body mass index (以下BMI) 24未満の群の出血量が, 24以上の群に比べ有意に低値であり, 貯血量の決定に有用と考えられた. 貯血・輸血による副作用は認めなかった.<br>(結論) 根治的前立腺摘除術において, 自己血貯血は, 同種血輸血を高率に回避でき, 副作用も認めず有用な方法と考えられた. また, 適正な貯血量は, BMI 24未満が800ml, 24以上が1,200mlと考えられた.

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