禁制レザボア輸出脚機能不全による尿失禁に対する腹直筋膜スリングを用いた尿失禁防止術

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  • SLING SUSPENSION OF INCONTINENT URINARY RESERVOIR

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抄録

新しい手技の工夫を行った症例は64歳, 男性. 膀胱癌 (TCC, G3) の診断で, 膀胱全摘除術および禁制レザボア造設術を施行した. レザボアはU字型 ileal patch を併用した cecocecal reservoir とし, 尿失禁防止機構は回盲部を利用した腸重積法とした. 術後自己導尿を行い尿失禁はみられなかった. しかし手術後1年目, 尿失禁が出現し, 輸出脚 nipple valve の pouch 内腔側が開大していたため, その縫縮・固定を行った. 術後一時尿失禁は軽快したが, またその1年後, 再び尿失禁出現した. レザボア内へのスコポラミン注入, オキシブチニン注入を試みたところ pauch 内容量は増大したが, 尿失禁は残存した. Nipple pressure profile では輸出脚機能不全と考えられ, 輸出脚の追加修復を行ったが尿失禁は持続し, 輸出脚機能不全は残存した. その後, 輸出脚粘膜下へのコラーゲン注入を試みたが改善はみられなかった. そこで腹直筋膜を利用した輸出脚に対するスリング手術を施行した. 尿貯留時にレザボア自体の重みを利用して輸出脚が絞められるよう, 筋膜を輸出脚の下方は遊離するように支持し, 上方は腹直筋膜に固定した. スリング手術後, 尿失禁は消失, Nipple pressure profile でも輸出脚機能の改善がみられた. 術後約2年以上を経過した現在でも尿失禁の再発は全く認めていない.<br>本手術の原理は, 女性尿失禁に対して行われるスリング手術と同様である. 禁制レザボアの輸出脚の長さが十分に取れる場合には, 試みても良い方法と思われる.

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