大阪警察病院における前立腺癌症例の臨床的検討

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  • CLINICAL SURVEY OF PROSTATE CANCER
  • オオサカ ケイサツ ビョウイン ニ オケル ゼンリツセン ガン ショウレイ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

(目的) 当院における前立腺癌の治療成績を retrospective に検討する.<br>(対象と方法) 1990年1月から2004年12月までの15年間に, 大阪警察病院泌尿器科で病理組織学的に診断のついた前立腺癌初発症例482例を対象とし統計学的臨床検討を行った.<br>(結果) 初診時の年齢は51歳から99歳までに分布し平均72.9歳であった. 年次別患者数をみると近年著しく症例数が増加しており, なかでもPSA高値のみを主訴とする症例が多くなっている. 臨床病期分類別患者数は stage A が92例 (19.1%), stage B が238例 (49.4%), stage C が48例 (10.0%), stage D が104例 (21.6%) であった. 全症例のうち425例 (88.2%) で何らかの内分泌療法が選択され, 前立腺全摘除術が77例 (16.0%) に放射線外照射が57例 (11.8%) に行われた. 全症例における5年疾患特異的生存率は79.7%, stage 別5年疾患特異的生存率は stage A1 100%, stage A2 96.8%, stage B 89.4%, stage C 79.9%, stage D 42.9%であった. 全症例を1990年から1996年までの前半と1997年から2004年までの後半に大別すると, stage C・Dにおいて疾患特異的5年生存率がそれぞれ56.3%から90.9% (p=0.0226), 34.5%から51.5% (p=0.0448) と改善していることがわかった. その理由として stage C においては前立腺全摘術・内分泌療法併用群が内分泌療法単独群に較べ疾患特異的5年生存率で有意に優れており (p=0.0027), その症例数も後半増加していた. stage D2 においてはVP-16・ADM・CDDPを用いた初期内分泌化学療法を受けた症例が後半増加しており, 内分泌療法単独群に較べ再燃までの期間と疾患特異的5年生存率で有意に優れていた (P=0.0467, P=0.0381).<br>(結論) 当院での前立腺癌の治療成績を示した. stage C での根治療法 (特に前立腺全摘) と内分泌療法の併用と stage D2 での内分泌化学療法の有用性が示唆された. 本邦における前立腺癌治療成績のさらなる集積を期待する.

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