二分脊椎症例における排尿方法選択の指標としての Urethral Opening Pressure 測定

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  • URETHRAL OPENING PRESSURE AS A PARAMETER FOR INTRODUCTION OF THE PROPER VOIDING MODALITY IN MYELODYSPLASTIC PATIENTS

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抄録

二分脊椎症例を適切な排尿方法で管理するための指標として, 膀胱内の尿が外尿道括約筋部を越える時の膀胱内圧を urethral opening pressure (UOP) とし, 低活動型膀胱を呈する63例125腎・尿管を対象に測定を行った. その結果, UOP値35cmH2O以上の症例は, 上部尿路に何らかの形態的あるいは機能的変化が認められた45腎中37腎 (82.2%) を占めていた. 同様に Grade 2以上のVURが認められた41尿管中32尿管 (78.0%), 膀胱変形が認められた36例中26例 (72.2%) を占めていた. そこでUOP値35cmH2O以上を高圧群 (28例), 35cmH2O未満を低圧群 (35例) の2群に分類した. 排尿方法は, 高圧群では23例 (82.1%) がおもに清潔間歇導尿, 低圧群では24例 (68.6%) が手圧あるいは腹圧排尿にて管理されていた. 3年6ヵ月の追跡評価結果で, 清潔間歇導尿群では尿路の形態あるいは機能に関して予後良好であった. 一方, 手圧あるいは腹圧排尿群では悪化を示した割合は高圧群 (80.0%) で低圧群 (9.1%) に比較して有意に高い結果を示した (p<0.005). 以上より, 35cmH2O以上の高UOP値症例には早期より清潔間歇導尿を導入するのが望ましい. 一方, 35cmH2O未満の低UOP値症例でもより低圧排尿が可能な清潔間歇導尿を行うのが良いが, 手圧あるいは腹圧排尿による管理も可能であると考えられた. UOP値は二分脊椎症例の尿路の形態的あるいは機能的予後を早期に把握するのに役立ち, より risk が少ない排尿方法を選択する時の有用な指標の一つになると考える.

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