前立腺肥大症と早期前立腺癌の鑑別診断における PSA-density (PSAD) の臨床的意義

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  • CLINICAL SIGNIFICANCE OF PSA-DENSITY IN DIFFERENTIAL DIAGNOSIS BETWEEN BPH AND EARLY STAGES PROSTATE CANCER

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(目的) 前立腺特異抗原 (PSA) は高い感度を有する優れた特異的腫瘍マーカーだが, 特異性は20~82%と満足のいくものでなく前立腺肥大症など良性疾患でも高値をとることが問題である. そこで PSA-density (PSAD) の前立腺肥大症と早期前立腺癌の鑑別における有用性を検討した.<br>(方法) 前立腺肥大症63例と前立腺癌82例 (stage A: 8, B: 17, C: 17, D: 40例) を対象とした. PSA値は治療前に MARKIT-F PAで測定し, 前立腺は超音波を用いて経腹的に外腺を含めて計測した.<br>(結果) (1) 前立腺肥大症におけるPSA値と前立腺体積の間にr=0.5968の相関性を認め, (2) PSAD値は前立腺肥大症群で0.106±0.006, stage A・B群で0.538±0.094, 前立腺癌全体で2.973±0.764となり前立腺肥大症群に対しともに有意差 (両者ともp<0.005) があり, (3) PSADの cut-off 値を前立腺肥大症群のmean±2SDである0.208とした場合, 早期癌における感度84%, 特異性97%, 診断効率93%とPSAを使用した場合に比べて良好な結果が得られ, (4) 血清PSA値が3.6ng/ml以上の偽陽性を示したBPH 19例のPSAD値は18例で cut-off 値以下であった.<br>(結論) 以上より, PSADは腫瘍マーカーが異常値を示す前立腺肥大症の診断 (即ち特異性の改善) において有用で, 血清PSA軽度上昇例に対する生検の適応決定の指標になりうるものと考えられた.

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