前立腺癌の頭蓋底転移により Collet-Sicard syndrome を呈した1例

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  • A CASE OF COLLET-SICARD SYNDROME CAUSED BY SKULL BASE METASTASIS OF PROSTATE CARCINOMA

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症例は55歳, 男性. 前立腺癌 (中分化型腺癌 Gleason's score 3+4, 血清PSA値2,375ng/ml) 診断時よりリンパ節転移, 多発骨転移を呈しておりLH-RHアゴニストとフルタマイドの併用療法にて治療を開始した. 血清PSA値の低下とリンパ節転移巣の縮小を認めたが, 治療開始後8ヵ月目頃より頭痛, 嚥下困難, 構語障害が出現し, 神経学的所見にて第IXから第XII脳神経障害を認めた. 頭部CT, MRI上左斜台部から後頭骨底部にかけて骨破壊像と骨髄を置換する腫瘍塊が見られ, 前立腺癌の頭蓋底転移により脳神経症状を呈したものと診断された. 同部に対して放射線照射50Gy (2Gy×25) を施行し, 一時的な症状の寛解をみた. しかし, 放射線治療4ヵ月目に症状が再燃し, 全身状態も悪化し死亡した. 病理解剖時の所見では画像に一致した頭蓋底腫瘍を認め, 同部は組織学的に低分化型腺癌であり, 抗PSA抗体で染色されたため, 前立腺癌の転移巣と診断された.<br>前立腺癌の頭蓋骨転移は高頻度にみられるが, 頭蓋底への転移により脳神経症状を呈すことは少ないとされている. 自験例は第IXから第XII脳神経症状を呈するため Colle-Sicard syndrome に分類され, このような脳神経症状を呈した前立腺癌の報告例は少なく, 本邦での報告はこれが初例である.

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