日本外傷学会腎損傷分類に基づいた鈍的腎外傷症例115例の検討

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  • EVALUATION OF 115 CONSECUTIVE PATIENTS WITH BLUNT RENAL TRAUMA BY USING THE CLASSIFICATION FOR RENAL INJURY OF JAPANESE ASSOCIATION FOR THE SURGERY OF TRAUMA

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説明

(目的) 日本外傷学会腎損傷分類の有用性を, 鈍的腎外傷に関して検討する.<br>(対象, 方法) 鈍的腎外傷115例 (1982年6月~1999年2月) を対象とした. 実質損傷 (type) と腎周囲血腫 (H factor) ならびに type と尿溢流 (U factor) の相関性を検討した. type, H factor, U factor ごとの治療法, 腎喪失率を検討し, この3因子のなかで受傷腎の転帰に関して有意な影響を及ぼすものを求めた.<br>(結果) type I からIIIcまでと H factor の間, ならびに type IIIa からIIIcまでと U factor の間に有意な相関性を認めた. 29例 (25%) に即時手術が施行され, 最終的に全症例の17%, 重度損傷 (type III, IVa (M), IVb) の35%が腎喪失 (腎摘出) となった. 腎温存群と喪失群の間には, type とH factor の重症度に関して有意差を認めた. また type, H factor, U factor の3因子のなかで, 受傷腎の転帰に影響を及ぼす独立した有意な因子は type であることが多変量解析により示された.<br>(結論) 鈍的腎外傷において治療方針の決定, 治療成績の比較のためには, 日本外傷学会による腎実質損傷分類の細分化は有用であるが, 腎周囲血腫と尿溢流の程度の評価に関しては, 実質損傷の重症度を検討する際に活用するにとどめるべきと考えられた.

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