前立腺上皮細胞におけるサイトケラチンの免疫組織化学的検討

DOI PubMed 参考文献32件 オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • IMMUNOHISTOCHEMICAL ANALYSIS WITH ANTI-CYTOKERATIN ANTIBODY IN THE PROSTATIC EPITHELIUM

この論文をさがす

説明

(目的) 前立腺上皮に対し, 3種類の抗サイトケラチン抗体 (34βE12, 35βH11, RCK108) を用いた免疫組織化学的な検討を行った. 基底細胞に特異的に染色される抗サイトケラチン抗体 (34βE12) については, 様々な前立腺病変に免疫組織化学染色を行い評価した.<br>(対象と方法) 対象は, 生検あるいは手術療法により採取した前立腺組織131例である. 前立腺病変はH-E染色にて前立腺肥大症 (BPH), 前立腺癌 (PCA), atrophic acini, atypical adenomatous hyperplasia (AAH), prostatic intraepithelial neoplasia (PIN) に分類した. これらの前立腺病変にたいして3種類のサイトケラチン抗体を用いた免疫組織化学染色をABC法あるいはLSAB法を用いて行い評価した.<br>(結果) BPHでは, 35βH11は主に分泌細胞に染色が認められ, RCK108は分泌細胞, 基底細胞共に染色が認められた. PCAでは, 35βH11はいずれの腫瘍分化度にも高い染色性を認めたが, RCK108は腫瘍分化度が低くなるほど染色性は低下した. 34βE12は基底細胞のみに染色され, 分泌細胞や癌細胞には染色されなかった. 34βE12での免疫化学染色において, BPHではほとんどの症例で陽性を示したが, PCAでは陽性症例は認められなかった. また, atrophic acini, AAHは, BPHと同様な陽性染色を示したが, high-grade PINでは断続的な染色性や陰性症例が多くみられた.<br>(結論) 前立腺肥大症の分泌細胞においては, 35βH11, RCK108とも強い染色性を認めた. 前立腺癌細胞では, RCK108は腫瘍分化度が低くなるほど染色性が低下する傾向が認められた. 34βE12陽性であれば良性前立腺病変を強く示唆することになり, 病理診断の補助手段となり得ると考えられた.

収録刊行物

参考文献 (32)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ