膀胱癌に対する膀胱全摘除術症例における Adjuvant および Neoadjuvant Chemotherapy の意義

  • 羽渕 友則
    京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学 現 秋田大学医学部泌尿器科学教室
  • 筧 善行
    京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学
  • 寺地 敏郎
    京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学
  • 小川 修
    京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学
  • 吉田 修
    京都大学大学院医学研究科器官外科学泌尿器病態学 現 東亜大学大学院

書誌事項

タイトル別名
  • THE PROGNOSTIC VALUE OF ADJUVANT AND NEOADJUVANT CHEMOTHERAPY IN TOTAL CYSTECTOMY FOR LOCALLY ADVANCED BLADDER CANCER

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説明

(目的) 膀胱移行上皮癌に対する膀胱全摘除術の補助療法である adjuvant chemotherapy (以下AdjCTxと略す) と neoadjuvant chemotherapy (以下 NeoCTx と略す) の成績と適応について検討した.<br>(方法) 当科にて膀胱移行上皮癌に対して膀胱全摘除術が施行された229症例を検討対象とした. 42例に AdjCTx (VPMCisCF, CisCA, MVAC, MEC) を1~4コース行い, 23例に NeoCOx (CisCA, MVAC, MEC) を1~4コース行った. 対象を病期, 化学療法施行の有無により群化し, Kaplan-Meier 法にて疾患特定生存率を算出し, 有意差の検定は一般化 Wilcoxon 法を用いて検討した.<br>(結果) pT3a以上, さらにはpT3b以上, pT4以上の症例群に限定しても, AdjCTx 施行により生存亡率に有意な差を認めなかった. AdjCTx はpN2以上の症例群では有意に生存率を改善していた. NeoCTx では, 施行群全体では有意な生存率の改善は認められなかったが, 施行後にpT1以下に down staging された例や clinical PR 以上の反応の得られた症例の生存率は, 非施行群に比べて有意に高かった.<br>(結論) AdjCTx や NeoCTx は, 現状の適応よりさらに限定された症例に行うと, 有意な survival benefit が得られると考えられた. response が得られない症例に無用な化学療法を施行しないためにも, 化学療法に対する response を予知できるマーカーが必要と考えられた.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (19)*注記

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