ヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子の刺激誘発による切断・放出への活性酸素種の関与

  • 馬田 敏幸
    産業医科大学 教育研究支援施設 アイソトープ研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Involvement of Reactive Oxygen Species in Stimuli-Induced Shedding of Heparin-Binding Epidermal Growth Factor-Like Growth Factor

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抄録

ヘパリン結合性上皮成長因子様成長因子(HB-EGF)は,創傷治癒,動脈硬化および癌増殖など多くの生理的,病理的過程に関与している成長因子である.HB-EGFは膜型として合成され,細胞表面でプロテアーゼにより切断・放出(エクトドメイン シェディング:シェディング)されて増殖活性を獲得する.この研究では,HB-EGFをサルの腎細胞に高発現させたVero-H細胞を使って,HB-EGFのシェディングへの活性酸素種(ROS)の関与を調べた.ホルボールエステル(TPA),G蛋白質共役型受容体(GPCR)のリガンドであるリゾホスファチジン酸(LPA)やストレスとしてのソルビトール刺激により誘発されるHB-EGFのシェディングは,それぞれプロテインキナーゼC(PKC)-δ,古典的MAPキナーゼおよびp38MAPキナーゼを介して誘発された.この刺激誘発によるシェディングをN-アセチル-L-システイン(NAC)が阻害したことより,HB-EGFの刺激誘発によるシェディングへROSが関与することが示唆された.それぞれのキナーゼの特異的阻害剤がシェディングを阻害したので,シグナル経路は独立していると思われる.一方,ガンマ線照射は細胞内に活性酸素種を産生したが,HB-EGFのシェディングを誘発しなかった.これらの結果を総合すると,ROSの産生とタンパクキナーゼの活性化が相乗的に作用してHB-EGFのシェディングが誘発されることが示唆された.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 36 (2), 105-114, 2014

    学校法人 産業医科大学

参考文献 (36)*注記

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