特集「外来種と植生管理」 絶滅危惧種ハナノキの自生地域における近縁外来種アメリカハナノキの植栽混入

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タイトル別名
  • SPECIAL ISSUE “ Nonnative Species and Vegetation Management ” Mixed planting of an endangered tree <I>Acer pycnanthum</I> and an exotic congener <I>A. rubrum</I> in the Tokai Hill region
  • 絶滅危惧種ハナノキの自生地域における近縁外来種アメリカハナノキの植栽混入
  • ゼツメツ キグシュ ハナノキ ノ ジセイ チイキ ニ オケル キンエン ガイライシュ アメリカハナノキ ノ ショクサイコンニュウ
  • SPECIAL ISSUE &ldquo; Nonnative Species and Vegetation Management &rdquo; Mixed planting of an endangered tree <I>Acer pycnanthum</I> and an exotic congener <I>A. rubrum</I> in the Tokai Hill region

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抄録

ハナノキは,東海丘陵地域に生育する落葉高木で,絶滅危惧II類に指定されている絶滅危惧種であるが,自生地域では街路樹としてよく植栽されている。こうした植栽木の中に北米原産の近縁種アメリカハナノキとみられる個体が混入し,一部で実生が定着している実態が明らかとなった。近縁外来種は,競争だけでなく,浸透性交雑や繁殖阻害のように生殖を介しても影響を与えるため,在来種の存続に深刻な影響を与える可能性がある。そこで外来種を同定するための簡便な種識別手法の開発を試みたところ,葉の形態的指標である LDIは,種間で有意差が見られたものの識別手法としては有効とはいえなかったが,葉緑体遺伝マーカーは種の識別に有用であった。さらに生理生態特性の解析から,アメリカハナノキは暗条件下でハナノキより高い光合成速度を示すこと,さらに,ハナノキとアメリカハナノキとが交雑可能であることが明らかとなり,アメリカハナノキの侵入可能性が示された。今後,アメリカハナノキの侵入拡大を未然に防除するために,早急に植栽混入の現状や流通経路を究明し,生物学的侵入リスクを生態・遺伝・生理等の面から評価する必要がある。

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