建設現場における安全風土の潜在構造および作業員の安全意識や現場の安全レベルにおよぼす影響

  • 庄司 卓郎
    産業医科大学 産業保健学部 第2環境管理学講座
  • 江川 義之
    独立行政法人 産業安全研究所 境界領域・人間科学安全研究グループ

書誌事項

タイトル別名
  • The Structure of Safety Climates and its Effects on Workers' Attitudes and Work Safety at Japanese Construction Work Sites
  • Structure of Safety Climates and its Effects on Workers Attitudes and Work Safety at Japanese Construction Work Sites

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抄録

日本の建設作業現場において面接調査, 質問紙調査を行い, 現場の安全風土の潜在構造を把握するとともに, 現場の安全風土と作業員の安全意識, 所属企業の安全レベルとの関係を明らかにすることを試みた. 自記式質問紙調査票を作成し, 大手建設企業の建設現場で働く本社の所長, 現場職員300人, および協力会社の職長300人に配布し, 496部を回収(回収率82.7%)した. 作業現場の風土に関して因子分析(最尤推定法, 斜交回転)を行い, 8因子解を採択した. そのうち, 「厳しい上下関係」の因子スコアは, 「和や協調を重視」や「協力し合う」などの因子スコアと負の相関を示しており, 厳しい上下関係と作業員同士が協調, 協力する風土とは相容れないものであることが示された. 職長の安全意識についても同様に因子分析(最尤推定法, 斜交回転)を行い, 「周囲の不安全行動も許さない厳しい態度」など安全を重視する意識(正の安全意識)4因子と「工程重視」, 「他人ごと」など安全を軽視する意識(負の安全意識)4因子を含む8因子解を採択した. 安全意識の因子スコアは, 風土の因子スコアとの相関が見られたが, 特に負の安全意識において関連が強かった. また, 企業の安全レベル(事故率)と関連が強いのも負の安全意識であった. 以上の結果から, 建設作業現場の安全確保のために, 安全風土の醸成を通じた安全意識の高揚, 不安全意識の低減が有効であると考えられる.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 28 (1), 29-43, 2006

    学校法人 産業医科大学

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