船倉タンク内で二酸化炭素中毒により溺死した作業者の剖検例

書誌事項

タイトル別名
  • An Autopsy Case of Drowning Caused by Accidental Carbon Dioxide Intoxication in a Hold Tank
  • 症例報告 船倉タンク内で二酸化炭素中毒により溺死した作業者の剖検例
  • ショウレイ ホウコク センソウ タンク ナイ デ ニサンカ タンソ チュウドク ニ ヨリ デキシ シタ サギョウシャ ノ ボウケンレイ

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抄録

49歳男性船長が, 船倉タンク内での廃液処理作業中に倒れた船員の救出に降り, 間もなく同様に倒れて死亡した. 船長の剖検の結果, タンク底面に残った廃液の吸引による溺死と診断された. 意識消失に至った経緯を明らかにするために船倉タンク内のガス分析を行ったところ, 酸素濃度は18.86〜19.31%, 二酸化炭素濃度は7.28〜9.07%で, その他に硫化水素を含め特記すべき濃度のガスは検出されなかった. したがって, 意識消失は二酸化炭素中毒によるものと考えられ, タンク内の廃液の発酵により高濃度の二酸化炭素が発生し, 死亡事故が発生したと結論づけた. 二酸化炭素が発生しうる環境においては, その危険性を十分に認識しておく必要があると考えられた.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 31 (4), 353-358, 2009

    学校法人 産業医科大学

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