ポリコーム複合体による植物の発生制御(<特集>エピジェネティクスによる植物の成長・分化制御)

  • 木下 哲
    奈良先端大学バイオサイエンス研究科GCOEリサーチグループ
  • 池田 陽子
    奈良先端大学バイオサイエンス研究科GCOEリサーチグループ
  • 石川 亮
    奈良先端大学バイオサイエンス研究科GCOEリサーチグループ

書誌事項

タイトル別名
  • Control of plant life cycle by polycomb complex in Arabidopsis(<Feature Articles>Regulation of plant development and differentiation by epigenetics)
  • ポリコーム複合体による植物の発生制御
  • ポリコーム フクゴウタイ ニ ヨル ショクブツ ノ ハッセイ セイギョ

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説明

植物の発生過程では,発生のフェイズに応じて様々なセットの遺伝子発現が必要となる.例えば,花を咲かせるフェイズ(生殖成長相)では, AGAMOUS, PISTILATA等の様々なホメオティック遺伝子の発現が必要であるが,これらの遺伝子は栄養成長のフェイズ(栄養成長相)においては必ずしも必要ではない.また,種子形成に必要な遺伝子群も,他の発生過程では発現が抑制されている必要がある.シロイヌナズナの突然変異体の解析から,これらの遺伝子の発現抑制に関与するポリコームグループ(PcG)タンパク質の役割が明らかになっている.PcGタンパク質は進化的に保存された複合体を形成し,ショウジョウバエやヒトではヒストンH3の27番目のリジンをメチル化する活性を持つ. PcG複合体によるヒストン修飾が,細胞分裂を通じた遺伝子の発現抑制に重要であると考えられている.本稿では,シロイメナズナの解析から明らかになってきた,PcG複合体による植物の発生制御を概説する.

収録刊行物

  • 植物の生長調節

    植物の生長調節 43 (1), 29-34, 2008

    一般社団法人 植物化学調節学会

参考文献 (23)*注記

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