医療提供構造

書誌事項

タイトル別名
  • The Structure of Health Care Service
  • ―いわゆるWorried Wellの患者群と心身医学―
  • ―So-called the Worried Well Patients and Psychosomatic Medicine―

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抄録

住民にとって, 最適な医療をいつでも, どこでも容易に受けたいという願望は, 全く素朴な本能的なものともいえよう. しかしながら, 健康教育が不備でしかもマスコミをはじめとする興味本位の医療に関する情報の, ときには煽動的とすら思える内容は, 住民の医療に対するdemandをいたずらに助長する結果ともなっている. こうしたことから, いわゆるworried wellといわれる患者群を増加させ, 医療施設に殺到し, ひいては医療費高騰の一因をなしているとも考えられる. 一方, 医療提供側も包括医療の観点からは必ずしも連続性, 継続性, 包括性を満足させている現状とはいい難い. Worried wellの患者群に接するばあい, 疾病の早期発見に努力すべきことはいうまでもないが, 同時に当該患者に対して心身医学的アプローチによって全人的に接することが必要となる. かかるばあい, 病院内の各診療科間をはじめとして各病院間の連けいが重要な課題となる. そこで, 包括医療の立場からみて, その連続性,継続性に欠陥があったと思われた症例をも呈示し, 一次レベルから三次レベルまでを包摂した医療圏の場において,医療情報の体系化とともに医療提供構造のシステム化をはかることが極めて重要であることについて論述した.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 6 (4), 359-368, 1984

    学校法人 産業医科大学

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