蘭領東インドにおけるオランダ系銀行の対華商取引 : ジャワ糖取引と1917年砂糖危機を中心に

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タイトル別名
  • Business transactions conducted by Dutch banks with Chinese merchants in the Dutch East Indies : Javanese sugar transactions andthe sugar crisis of 1917
  • ランリョウ ヒガシインド ニ オケル オランダケイ ギンコウ ノ タイ カショウ トリヒキ : ジャワ トウ トリヒキ ト 1917ネン サトウ キキ オ チュウシン ニ

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抄録

本稿の目的は,蘭領東インドにおける主要輸出品であったジャワ糖の取引について,資金調達の視点から華商とオランダ系銀行の関係を検証することである。特に第一次世界大戦期の1917年に発生した砂糖危機が,ジャワ糖輸出の最盛期となった1920年代の砂糖販売体制に与えた影響について,次の点を明らかにした。まず危機前のオランダ系銀行と華商の関係は,輸出品となる砂糖を担保に買付資金を提供し,販売先を確保するという相互依存の関係にあった。しかし大戦期に入り,銀行から大量流入した資金により華商の投機が過熱し,1917年の糖価下落とともに砂糖危機が発生すると,これをきっかけにオランダ系銀行は砂糖の販売を一元化するカルテル組織を結成し,日系や欧系企業向けの販売を優先する一方で,華商に対しては資金供給を制限していった。この販売統制の制度により,自己資金力を持ち海外販売実績がある有力華商と中小華商へと華商界が二極化していくなかで,オランダ系銀行は,取引先の選定と華人銀行を仲介とする間接的な取引へと,華商に対する関係を変化させていった。

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