中世畿内における使用升の容積と標準升

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  • Measures of volume and the use of de facto measure standards in the Kinai area during the medieval period of Japan
  • チュウセイ キナイ ニ オケル シヨウ マス ノ ヨウセキ ト ヒョウジュン マス

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抄録

本稿は中世畿内で使われていた主要な升の容積を明らかにするとともに,標準的に使われた升の成立と変遷を明らかにしようとするものである。升量は農業生産力,土地制度,交易条件,輸送力など経済史研究の基礎的データである。また,デファクトスタンダード(事実上の標準)升の成立は,いつ頃いかなる範囲で国内経済の統合がなされていったのかを明らかにするであろう。中世に使用された主要な升は古代の基準升の倍量を十合とする升体系をなしており,そのうち特定の升から別途の升体系がつくられていることが明らかになった。また,鎌倉時代,米市場や土地取引等に使われる標準升は荘園領主から市場に放出される米の計量升によって選択されたが,室町時代になり荘園領主からの米の市場放出が減少すると,1駄を1石とする「売升」が普及し,畿内近国にわたる広域的な売升市場圏が形成された。その後,京都市場では駄量の増加と並行して京升程度の大きさとなったように標準升は各時代の固有の要因により変遷した。

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