近代イギリス地方自治制度の展開(第77回全国大会共通論題)

書誌事項

タイトル別名
  • The development of English local self-government in the late 19th century(<SPECIAL ISSUE>77th annual conference)
  • 近代イギリス地方自治制度の展開
  • キンダイ イギリス チホウ ジチ セイド ノ テンカイ

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説明

本稿では,近代イギリス地方自治制度の特徴を,19世紀から20世紀にかけての形成及び展開過程をとおして検討する。この国の近代的地方自治制度は,名誉革命後に拡がった「地方の自律性」を特質とする統治構造を土台としながら,産業革命後の新たな行政ニーズに応えるべく19世紀の改革諸立法をとおして徐々に形成された。そこでは,近代的な統一国家形成の一過程として「国会主権」原理に基づく中央の監督的統制が強化され,そのもとで,公的機関としての地方政府が漸次整備されていく。その一方で,個々の地方政府に目を移せば,そこでは事実上相当な裁量が認められ,結果として,担い手の面でも運営の面でも貴族的な権威主義を内包する私的共同的枠組みが温存され,しかしそれゆえにこそ,新たな住民自治的制度が作り上げられていくことになる。ここでは,中央-地方関係にかかるこれら相反する2つの側面を並存させながら時々の状況に柔軟に対応した地方政府像を,一定の歴史的流れのなかで具体的に描こうと試みている。

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