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- 加藤 健太
- 高崎経済大学経済学部
書誌事項
- タイトル別名
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- The merger negotiation between Shin-Etsu Chemical Co. and Daido Chemical Co. in the last years of the Pacific War
- タイヘイヨウ センソウ マッキ ノ ガッペイ コウショウ シンエツカガク ト ダイドウ カガク ノ ケース
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説明
本稿では,信越化学と大同化学を題材にして,利害関係者の主張と行動に焦点を当てながら,太平洋戦争末期の合併交渉を検討した。その分析結果は,次の通りである。第1に,大同化学をめぐる企業間関係は,日本合成化学による買収,信越化学との「協力関係」の設定とその後の吸収合併といった具合に変遷し,安定性を欠いたが,重要物資の生産増強という視点から見れば,いずれも一定の合理性を有していた。第2に,大同化学の大株主である日本合成化学は,合併に伴う損失の回避のため,株主総会の場で信越化学との合併に強硬な反対姿勢を示した。同社の主張は,合併の方法や条件に反映されなかったから,出資先企業の意思決定に対する権利は著しく制限されたと言える。しかし,大株主が,所有権に基づいて自らの権利を訴えたことは重要と考えられる。最後に,軍需省は,合併条件の設定に際して,非常時である点を強調し,大同化学に不利な条件を押し付ける形で決着をつけた。敗戦が目前に迫った1945年4月時点では,当事会社の利害を調整しながら,公正な条件を導き出すことは極めて困難だったのである。
収録刊行物
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- 社会経済史学
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社会経済史学 74 (5), 425-446, 2009
社会経済史学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205100994560
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- NII論文ID
- 110009497966
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- NII書誌ID
- AN00406090
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- ISSN
- 24239283
- 00380113
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- NDL書誌ID
- 10369992
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可