書誌事項
- タイトル別名
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- Theoretical Study on the Catalytic Cycle and Ligands Effect for the Pd(II)-Catalyzed Heck Reaction
説明
Pd 触媒を用いたHeck反応は、有機合成や有機金属化学において最も広く用いられている、重要な反応の一つである。触媒として用いられるPd 錯体の配位子は、反応性に影響するため、その探索は重要な研究課題の一つである。本研究では、密度汎関数理論(DFT)計算を用いて新たに合成された2-(2'-ピリジル)ベンゾアゾール, L を配位子に持つPd錯体を触媒としたHeck反応の反応機構の解析を行った。計算結果より、活性種は反応基質のエチレンとPh-Brから生成するPd(Ph)(Br)(L)であることがわかった。生成した活性種から始まる触媒サイクルは、(1)エチレン配位、(2)エチレン挿入反応、 (3) β-H引き抜き反応、(4)スチレンの脱離、 (5) Ph-Br配位、(6)H-Brの脱離反応、(7) Ph-Brの酸化的付加反応の7つの素反応過程から構成される。律速段階はPh-Brの酸化的付加反応であり、その活性化自由エネルギーは30 ~ 32 kcal/mol程度と計算された。これらの結果より、この触媒サイクルは、PdII/PdIV ではなく、Pd0/PdII で進むことが明らかとなった。
収録刊行物
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- Journal of Computer Aided Chemistry
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Journal of Computer Aided Chemistry 16 (0), 30-38, 2015
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205106794496
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- NII論文ID
- 130005110947
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- ISSN
- 13458647
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
- OpenAIRE
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可