水田・里山放牧の展開と推進課題(<特集>構造再編下の日本農業)

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タイトル別名
  • Development and Problems of Grazing on Drained Paddy Fields and Forest Land in Japan(<Special Issue>Restructuring of Japanese Agriculture)
  • 水田・里山放牧の展開と推進課題
  • スイデン ・ サトヤマ ホウボク ノ テンカイ ト スイシン カダイ

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抄録

1990年代から中国・九州地方の中山間地域では,水田などの耕地や低・未利用地(転作地),耕作放棄地,林地(里山)へ肉用牛を放牧する水田・里山放牧が行われるようになった.放牧は,畜産経営の改善や,国土周辺部や中山間地域の国土利用の点からも注目される.本稿では,水田・里山放牧の展開を,畜産農家や集落組織などの実施主体に着目しつつ検討し,その可能性を展望した.肉用牛繁殖農家による放牧では1戸平均1〜1.5haの放牧面積であり,地域的には点的にみられている.そうした放牧地域では積極的な規模拡大農家が少なく,むしろ高齢維持対策の方が意味をもつ.一方,集落組織による放牧では,管理可能な放牧面積が大きい傾向にあり,今後の集落計画にも大きな意味をもつ.ただし,継続的な経営となるためにはある程度の飼養規模が求められる.また,放牧農家が集団化して地域的に取り組むことで,面的な取り組みにつながることや,小規模農家でも初期コストが少ないことが示唆された.耕作放棄地や棚田の荒廃地における放牧利用は,今後、人口減少が進む農山村において,少ない人数でより広域な土地を管理する方策としての意味が増大するであろう.

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