剣道用具販売におけるネット通販の拡大と既存小売店の対応

書誌事項

タイトル別名
  • Expanding Internet Sales of Kendo Equipment and the Response of Existing Retail Stores
  • ケンドウ ヨウグ ハンバイ ニ オケル ネットツウハン ノ カクダイ ト キソン コウリテン ノ タイオウ

この論文をさがす

抄録

<p>    剣道用具の生産・流通は,伝統的職人による家内制手工業が中心の1950年代以前,汎用品需要の拡大に伴って工場制の生産が拡大した1960-80年代,製造拠点の海外移転と製販統合の進展とともに,ネット通販が行われるようになった1990 年代以降に区分できる.剣道用具の通販サイトは,本店所在地が全国に分散しており,宅配便業者と提携して全国各地に商品を配送する仕組みを構築している.出店経緯をみると,店舗販売を行っていた既存小売業者がネット通販を行うようになったものと,ベンチャー企業によるものがある.これらのうちベンチャー企業3 社への聞き取りによれば,その特徴として,低価格志向への対応,海外メーカーとの提携,シェア拡大と知名度向上,海外販売の積極展開が挙げられる.<BR>     ネット通販の拡大は,剣道用具の低価格化を促進した.店舗販売を主とする小売店の多くは,これに追従して値下げ販売を行うことで利益が減少するなど,経営が圧迫されている.またネット通販は,剣道用具の消耗品化を促進した.これにより消費者は,対面でのアドバイスを受けたり,試着や試用などをしたりすることなく,自宅にいながら気軽に剣道用具を購入するようになっている.こうした中で,店舗販売を主とする既存小売業者は,ネット通販に参入する者がみられる一方,地元顧客との関係強化・囲い込み,高級・ブランド志向を進めることにより,ネット通販との差別化を図る動きも確認できる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ