回族・漢族混住農村におけるエスニシティと経済活動 : 寧夏回族自治区納家戸村の事例

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タイトル別名
  • Ethnicily and Economic Activities in the Hui-Han Multiethnic Village : A Case of Najiahu, Ningxia Hui Autonomous Region
  • カイゾク カンゾクコンジュウノウソン ニ オケル エスニシティ ト ケイザイ カツドウ ネイカカイゾク ジチクノウカトムラ ノ ジレイ

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抄録

本研究において,寧夏回族自治区の納家戸村1・11村民小組を事例として,土地利用という空間構造の分析も取り入れ,中国西北地方の農村におけるエスニシティと経済活動の関係について考察した.耕種農業においては,生産責任制の導入以降,各村民小組で民族,性別,年齢に平等に農地の耕作権が分配されているため,また行政村の農業計画にもとづいて栽培作物が決定されているため,農業経営は全体的に均質的で,回族と漢族との間で大きな差異がない.さらに,回族と漢族の間での作業委託も行われている.畜産部門においては,イスラームのブタ禁忌と祝祭時における回族の羊肉の消費のために,回族と漢族の家畜飼育形態に差異がある.特に漢族の収入源であるブタの飼育が,回族にとって禁忌の対象であり,このような生活様式の差異が文化的摩擦の原因ともなっている.兼業においては,羊の畜殺や羊肉の販売は回族のみが行っているのに対して,会社や工場での女性の就業は漢族のみが行っているなど,回族と漢族との間で差異がある.回族と漢族の間の就業形態の差異が大きい畜産業と兼業は,ともに集団農業期に禁止され,生産責任制の導入以降盛んになった.また,「西部大開発」政策は,主に西部地区の商工業の発展を試みるものであることから,今後,農村部においては,2民族の間の就業形態の差異がさらに拡大し,それぞれの民族アイデンティティが強化される可能性がある.

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