第二次世界大戦後, 日本における東南アジアの地理学的研究 : その成果と課題

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タイトル別名
  • Contribution of Japanese Geographers to the Study of Southeast Asia after World War II
  • 第2次世界大戦後,日本における東南アジアの地理学的研究--その成果と課題
  • ダイ 2ジ セカイ タイセンゴ ニホン ニ オケル トウナン アジア ノ チリ

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抄録

本稿は, 第二次世界大戦後, 日本における東南アジアを対象にした地理学的研究の成果を整理・検討し, さらに今後の課題について考察したものである. 第二次世界大戦後の日本の地理学界における東南アジア研究の推移を概観すると, 終戦後まもなくは, 戦時中, 東南アジアに滞在した経験をもつ地理学研究者が中心となって東南アジア研究に携わった. 1950年代後半から現地調査が試みられるようになった. 東南アジアの地理学的研究においては, 全体として農業・農村研究がリードしてきたといえる. 長期間の住み込み調査による詳細なモノグラフの作成も試みられた. 近年では, 農業・農村の急速な変化に大きな関心が集まっている. 東南アジアの都市を対象にした地理学的研究は少なく, 最近になって多くみられるようになってきた. 東南アジアの工業化や経済発展については, 多方面から大きな関心が払われているにもかかわらず, 地理学分野の研究は少ない. 東南アジアにおける民族・文化に関する研究では, 少数民族についての地理学的研究がやや目立つが, この分野の研究は今後の発展に期するところが大きい. 全体として, 東南アジア研究に対する日本の地理学の取り組みは, これまで十分ではなかったといえる. 今後, 東南アジア研究における日本の地理学の課題として, フィールドワークをより重視すること, 研究対象地域や研究分野の拡大を図ること, 東南アジア研究に積極的に取り組む若手の地理学研究者を育成すること, などが指摘できる.

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