セッコウの赤外線吸収スペクトル

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タイトル別名
  • Infrared Absorption Spectra of Gypsum
  • セッコウ ノ セキガイセン キュウシュウ スペクトル

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説明

近年, 無機化合物の赤外線吸収スペクトルは, 多くの研究者によって研究が行われている。本報はセッコウの脱水や転移の過程を赤外線吸収スペクトルによって解析しようと試みたものである。著者らは, 赤外線吸収スペクトル曲線がセッコウの種々異なった焼成温度によって, どのように変形するかを研究した。これらの実験は KBr 法で, 4000~400cm-1 の範囲で測定した。その結果,<BR>1) CaSO4・2H2O の赤外線吸収スペクトルは, 結晶水による 3540, 3400cm-1 の O-H 伸縮振動と, 1685, 1620cm-1 の HO-H 変角振動, SO42- による 1200~1000cm-1 の範囲の S-0 や S=0 伸縮振動と, 656, 596cm-1 の O-S-O 変角振動である。<BR>2) CaSO4・2H2Oとβ-CaSO4・1/2H2O との赤外線吸収スペクトルを考えた結果, SO42- とH2O 分子との間には水素結合を形成すると結論づけられる。<BR>3) 344℃ よりも低い温度で焼成したβ-CaSO4・1/2H2O とIIIβ-CaSO4 との二つの試料は, 本質的に同一の赤外線吸収スペクトルを示す。これらのデータを基礎として, β-CaSO4・1/2H2O のみならず, IIIβ-CaSO4 も結晶水を含むと考えられる。<BR>4) IIIβ-CaSO4 から IICaSO4 に転移する温度は, 358~371℃ の範囲である。S-O や S=O 伸縮振動, また O-S-O 変角振動による特性吸収帯は, この転移温度の範囲で多数に分裂する。しかし, この分裂は 371℃ よりも高い焼成温度では止まる。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 74 (11), 2242-2247, 1971

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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