古代日本語の係り結びコソ

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タイトル別名
  • On the Old Japanese <i>Kakari</i> (Focus) Particle <i>koso</i>
  • Its Origin and Structure

抄録

古代沖縄語のス=siの係り結びと古代日本語のコ=kosoの係り結びは,已然形で結ぶ強調表現であるところが類似するが,積極的に比較研究されることは少なかった.本稿においては,両者を比較し,日本祖語における原形を*ko#swo(指示詞の*コ+形式名詞の*ソ)と再構する.そして,有坂第一.法則の適用で,甲類のswoが,先行する乙類のoに母音調和した結果,古代日本語では,kosoとなったと仮説する.ソの部分が甲類で,形式名詞であったとの見解は,従来の近称のコ+中称のソとの語源と相容れないが,その裏づけとして,(1)沖縄最古の辞書『混効験集』の知見,(2)西日本方言に痕跡を留める形式名詞のス・ソ,(3)機能論,文法化理論の観点からの論証を挙げる.更に,コ(沖縄ス=si)とカ(沖縄ガ)の係り結びを対照させ,両者の結びがrealisとirrealis(古代日本語は多くが推量の助動詞-(a)m-)に対応する意味を認知論的に考察し,また指示詞から係助詞のようなfbcus particleへの移行は世界の言語の文法化のデータにも合致する点を指摘する.

収録刊行物

  • 言語研究

    言語研究 2005 (127), 1-49, 2005

    日本言語学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205122303488
  • NII論文ID
    130003565746
  • DOI
    10.11435/gengo1939.2005.127_1
  • ISSN
    21856710
    00243914
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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