海水マグネシアクリンカーの製造-膠質添加による水酸化マグネシウムの沈降性の改良

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タイトル別名
  • Effect of Some Colloidal Substances on Sedimentation Velocity of Magnesium Hydroxide from Sea Water.

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説明

海水に石灰乳を作用させて水酸化マグネシウムを生成し,分離するには,水酸化マグネシウムを沈殿させねばならない。しかしただ単に海水と石灰乳を反応しただけでは,生成する沈殿の粒径は5μ 以下,沈降速度は僅かに2.5mm/min以下という程度のもので,これでは実際工程に利用するにはおそすぎる。<BR>一般に水酸化マグネシウムのような膠質沈殿に,他の反対電荷を有する膠質を添加すると,粒子間に凝集が起り,沈降速度が大きくなると言われている。本研究では水酸化マグネシウムについて,デンプン,カゼイン,ビスコース,ゼラチン等を添加して,沈降速度の変化を測定した。これらの中でデンプンに関しては水酸化マグネシウムに応用したことがあると聞いたが,具体的な数値の発表はない。カゼイン以下については著者の調べた範囲では文献は全く見当らない。<BR>また以上とは別に水酸化鉄ゾルに多価の陰イオンを添加すると凝析が起る事実を参照して,水酸化マグネシウム液にフェロシアンイオンFe(CN)64-を加え,影響を調べた。<BR>その結果デンプン,カゼイン,ビスコース,ゼラチン等は添加量を増せば水酸化マグネシウムの沈降速度を大きくするけれども,添加量が余りに増加すると全体が雲状に塊まり,かえって沈降しなくなるので,使用量および沈降速度の大きさに限度のあることを知った。<BR>フェロシアンイオンの場合には濃度の低い水酸化マグネシウム懸濁液では沈降速度に全く影響しないが,濃厚な水酸化マグネシウム泥漿については圧縮脱水を速める作用がある。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 62 (4), 505-506, 1959

    The Chemical Society of Japan

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