高分子膜の気体透過性

書誌事項

タイトル別名
  • Permeability of Polymer Films to Gases.

説明

ビニル系,ゴム系,セルロース誘導体系,ポリエステル系,ポリアミド系からそれぞれ試料をえらび,水素,酸素,窒素,炭酸ガスの透過係数(P),拡散係数(D),溶解度係数(S)を温度を変え,圧力差77cmHgにて測定した。気体についてPDも大体H2>CO2>O2>N2であり分子の大きさからのDの予想順位H2>O2>N2>CO2と一致しない。CO2Dの大きいのは,CO2が膜を拡散するとき,その長軸方向に位置をとり易いためである。Sは気体の臨界温度の高いほど大きい。CO2>O2>N2>H2の順序が予想され多くの膜についてそうである。膜からみた場合Pの大小の順序はDの大小の順序と大体一致するがSのそれとは一致しない。<BR>PおよびDの大体の順序は測定した膜について次のようである。天然ゴム,エチルセルロース,テフロン,ポリスチレン,ポリエチレン(比重=0.926),ポリプロピレン,ポリエチレン(比重=0.951),ポリ塩化ビニル,トリアセチルセルロース,ジアセチルセルロース,ジニトロセルロース,塩酸ゴム(ライファン),マイラー,ナイロン。後者ほど分子鎖空間がちみつで,熱運動による孔形成の確率が少ない。透過性と膜の構造との関係についてえられた結果を列記する。<BR>(1)高圧法ポリエチレン(比重=0.927)ほ低圧法ポリエチレン(比重=0.951)よりP,Dは大きい。(2)ポリエチレンを冷延伸するとP,Dは減る。(3)ポリエチレン膜にスチレンをグラフトさせると,スチレン%の増大によりPはます。(4)DOPにて可塑化したポリ塩化ビニルおよびエチルセルロースはDOP%増加によりDは増し,Sは減じ,Pは最小点をとおり以後増加する。(5)市販ポリ塩化ビニル膜のPも測った。含有可塑剤に影響される。(6)ポリ塩化ビニルー可塑剤系で2次転移点とPの間に特別の関係認められない。(7)天然ゴムを塩酸化するとP,Dは激減する。(8)DOP,ネオプレンの混入は塩酸ゴムのPをます。(9)ニトロセルロースは硝化度の増加とともにPはまし,水蒸気のときの逆である。(10)エチルセルロース>トリアセチルセルロース>ジアセチルセルロース>ニトロセルロースの順にPは減少する。(11)測定した試料の中では,ポリエステル(マイラー)とポリアミド(6-ナイロン)が最もP,Dが小さい。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 62 (12), 1897-1904, 1959

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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