書誌事項
- タイトル別名
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- The Determination of Trace of Mercury in Metallic Selenium with Dithizone
説明
セレンを半導体素子としてもちいるときには,市販の純度99.99%以上の金属状セレンをそれぞれのメーカーが数回蒸留をくり返し,精製してもちいているが,そこに含まれる不純物によって製品の性能に大きな影響がある。整流体素子としてもちいた場合,水銀の混入は逆耐電圧の低下および経年変化を早めるといわれており,水銀の分析管理は重要である。本報告はIrvingらの提案したReversion methodをもちいて,ジチゾンによる金属状セレン中の微量水銀の分析をおこなった。この実験ではあらかじめ主成分たるセレンから分離することなく,共存下から直接水銀を抽出定量するもので,まずセレン中に含まれる不純物でジチゾン抽出に影響のある元素は銅, 銀, 鉛, ( 鉄) であることをしらべた。普通, 水銀のジチゾンによる抽出はなるべく妨害イオンの共抽出をさけるために,比較的強い酸性でおこなわれることが報告されているが,セレン溶解後の亜セレン酸共存では,これがジチゾンを酸化して抽出不能となる。著者らは,この亜セレン酸および溶解後の残余硝酸のジチゾンに対する酸化が溶液のpHを規正することによって防がれることを予想した。実験によれば亜セレン酸共存でpH3以上で抽出完全であるが,亜硝酸の混入はジチゾンを著しく酸化してしまうので,スルファミン酸アンモニウムの添加によってこれを分解除去して, 亜セレン酸, 硝酸の共存でpH5.0~5.5の範囲で一定値を得ることがわかった。またReversion methodの併用によって銅,銀,鉛の共存下で金属状セレン中の微量水銀の定量に好結果を得た。
収録刊行物
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- 工業化学雑誌
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工業化学雑誌 63 (9), 1580-1583, 1960
The Chemical Society of Japan
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205131489408
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- NII論文ID
- 130004274828
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- ISSN
- 21850860
- 00232734
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可