ブラジル産リン酸アルミニウム鉱の湿式アルカリ法および乾湿併用法による抽出

書誌事項

タイトル別名
  • The Extraction of the Aluminum Phosphate Ore of Brazil by the Wet Alkali Process and the Dry and Wet Combined Process

抄録

ブラジル産リン酸アルミニウム鉱の利用法を探究する目的で,湿式アルカリ法および乾湿併用法による抽出について実験を行なった。<BR>湿式アルカリ法による抽出条件について詳細に研究を行なった結果,NaOHの使用量はNa2O/Al2O3(モル比)=2.5,Na2O/P2O5,(モル比)=2.0,その濃度は比重1.1で,煮沸点で抽出するのがよいことを知った。また鉱石のバイ焼温度と抽出率との関係にっいて実験を行なった結果,アルミナ抽出率が700℃以上で急に減少する事実を認めた。これは鉱石中の少量のCaOおよびSrO分が700℃以上で,3CaO(SrO),5Al2O3の化合物を形成するためと考えられる。この方法の好条件で良鉱を処理すると,アルミナ99%, P2O5 90%の抽出率を得た。<BR>石灰乳の存在におけるアルカリ抽出実験を行なった結果,鉱石中のリン酸分を不溶性のリン酸カルシウムとし,アルミナのみをNaAl2Oとして抽出するためには,3Ca(OH)2/P2O5(モル比)=1.3当量で170℃ 加圧処理で,その目的を達した。しかしこの場合アルミナの抽出率87.7%で,抽出残分のク溶性リン酸分は鉱石中のリン酸分に対し69.7%を示した。<BR>鉱石に炭酸カルシウムおよび塩化ナトリウムを混合してバイ焼し,後これをカセイソーダ液で抽出する乾湿併用法について実験を行なった。この方法も上述の方法と同様に鉱石中のリン酸分を不溶性にし,アルミナをアルミン酸ナトリウムとして溶出せしめるのであるが,好条件でアルミナ抽出率88%,抽出残分のク溶性リン酸分は鉱石のリン酸分の40%に過ぎない。<BR>以上の実験結果より湿式アルカリ法が最も好適な抽出法であると結論された。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 70 (3), 274-277, 1967

    The Chemical Society of Japan

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