フッ素金雲母-リン酸系における反応過程の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Studies on Reaction Process in Flour-Phologopite-H<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB> System

抄録

さきに,Phosphate Bonded Mica について報告した。<BR>本報告はこれら Phosphate Bonded Mica の接着機構の一端を明らかにするために, フッ素金雲母単結晶-リン酸系のぬれ現象およびX線マイクロアナライザー (EPMA), X線回折等について実験を行ないつぎの結果を得た。<BR>(1) 室温~400℃ : 室温での接触角 (θ) は約 20°であった。付着ぬれの仕事は約 150erg/cm2 程度で, 比較的フッ素金雲母壁開面をよくぬらすことがわかった。400℃ で加熱した試料のリン酸は液状であった。(2) 500~900℃ : 500℃ 以上では界面で反応を起し, 雲母成分がリン酸に溶けこんだ。反応生成物の雲母壁開面への接触角は 500~700℃ で約 30°であり, 室温の場合よりも大きく, また 900℃ ではほとんど0に近く, この温度附近での反応生成物はよくぬらすことを見出した。(3) 900℃ 以上 : 900~1000℃ で反応させたものの結晶性物質としては, ピロリン酸マグネシウム (Mg2P2O7) およびオルソリン酸アルミニウム (Al・PO4) が折出し, さらに 1100℃ では上記化合物の外にオルソリン酸マグネシウム {Mg3(PO4)2} が晶出した。以上により, 低温 (室温~400℃) ではリン酸が雲母結晶に付着し, 高温 (500~900℃) では固相-液相間で化学反応が生じ, この反応生成物が雲母結晶にぬれやすく, 接着に寄与しているものと考えられる。さらに 900℃ 附近より反応生成物中に結晶性物質が認められ始めた。

収録刊行物

  • 工業化学雑誌

    工業化学雑誌 74 (11), 2247-2251, 1971

    The Chemical Society of Japan

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