微量硫化物およびチオ硫酸塩の吸光光度定量法

説明

微量の硫化物イオンとチオ硫酸イオンが共存するとき,分離してそれぞれを比色定量する方法について研究した。本法では,多量の塩素イオンと共存する微量の硫化物イオン(0.020~0.4 ppm)とチオ硫酸イオン(0.1~1.0 ppm)が正確に分離定量できる。<br> 試料溶液10mlに硝酸亜鉛と炭酸ナトリウムを加えてできる塩基性炭酸亜鉛の沈殿とともに,硫化物イオンを硫化亜鉛として遠心分離する。沈殿は硝酸に溶かして硫化物イオンを,また口液からチオ硫酸イオンをつぎのようにして定量する。それぞれ適当なpHに調整し,混合溶液(硝酸水銀(II)とヨウ化カリウムからなる)とジフェニルカルバゾンのエタノール溶液を加えて発色させる。この着色物質をベンゼンに抽出し, 562mμの波長でベンゼン相の吸光度を測定する。<br> 本法では多量の塩素イオンが共存しても, pH 7で操作すれば妨害しない。またこの操作によって硫化物イオンを定量するとき, SCN-, I-, Br-が10 ppm, F-が100 ppm共存しても妨害しないが, CN-は1 ppmでわずかに妨害した。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 86 (11), 1149-1153, 1965

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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