北海道におけるクマゲラの生息環境と食性

書誌事項

タイトル別名
  • Habitat and Food Habit of the Black Woodpecker <i>Drycocopus martius</i> in Hokkaido
  • ホッカイドウ ニ オケル クマゲラ ノ セイソク カンキョウ ト ショクセイ

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抄録

1979年5月,北海道の富良野東京大学演習林および北海道大学天塩地方演習林において,クマゲラのふんを冬期採餌跡より採取し,その内容物を分析した.また,東京大学演習林では,同年巣立後の2つの巣内に残されたふんを採取し,その内容物を分析した.(1)冬期のふんから同定できた餌品目は,両地ともにムネアカオオアリ,およびカミキリムシ科幼虫の2つであり,とくに前者は多数出現した(富良野98.5%,天塩99.1%).(2)巣内のふんから同定できた餌品目は,アリ類数種とカミキリムシ科幼虫で,やはりアリ類が数のうえで優先した(99.8%).(3)このように,冬期にはムネアカオオアリを,繁殖期には数種のアリを好んで利用する傾向は,国内(秋田•苫小牧),国外(クナシリ島•アルタイ山脈)の食性報告と比較したところ,生息環境の差異にかかわらず,クマゲラの生息地域に広く認められるものと思われた.

収録刊行物

  • 鳥 32 (2-3), 109-111, 1983

    日本鳥学会

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