Ardeidaeの肺•気嚢系の形態について (I)
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- 門崎 允昭
- 北海道開拓記念館
書誌事項
- タイトル別名
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- LUNG AND AIR SAC SYSTEM OF THE ARDEIDAE (I)
説明
Ardeidae2種 Ardea cinerea,lxobrychus eurhythmus の肺•気嚢系の形態的特徴は次のとおりである.<br>1次気管枝は2種とも助骨面に裸出しない.1次気管枝の最小口径は,A.cinereaが3次気管枝の口径より大きいが,I.eurhythmus は3次気管枝の口径よりも細い.2次気管枝は2種とも ADs,PDs,PVs,PLs の4群から成る.PDs は2種とも PD1~PD6 あるいは PD7 まで助骨面に裸出している.2種とも総ての主気嚢を有している.頸気嚢は通例AD1のみと直接交通する気嚢であるが,2種の頸気嚢は肺門の肺動脈の頭側豊縁部で AD1 と直接交通する他,肺門の肺動脈の頭側鋭縁部で3次気管枝から成る集合気管枝と交通している.この交通路は発生学的に未確認であるが,形態的には回帰気管枝と同類のものである.頸気嚢でのこの種の交通路は今まで記載がなく初知見と思われ,2種におけるこの交通路の存在は他の鳥類との最大の特異点である.なお,I.eurhythmus は AD1 と前記の位置で交通する他,肺門と肺尖間の中点より,さらに肺尖寄りの位置でも AD1 と交通している.頸二腹筋下の憩室を I.eurhythmus は有するが,A.cinerea はそれを欠いている.2種の鎖骨間気嚢は,他の多くの鳥類の鎖骨間気嚢に見られる AD3 との交通路を欠いているが,A-connection と交通する他,肺門の肺静脈の頭側鋭縁部で I.eurhythmus は AD1 と, A.cinerea は AD1 と3次気管枝とから成る集合気管枝と交通している.この種の交通路を有する鎖骨間気嚢は既に Anatidae の数種類で報告されている.したがって I.eurhythmus と A.cinerea の鎖骨間気嚢の形態および交通路は,これら鳥類の鎖骨間気嚢に類似している.寛骨臼周辺の憩室は A.cinerea は腰仙部気嚢から, I.eurhythmus は腹気嚢から発生している. A.cinerea と I.eurhythmus の肺•気嚢系の形態は大筋において類似している.
収録刊行物
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- 鳥
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鳥 27 (2-3), 45-50, 1978
日本鳥学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205147396736
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- NII論文ID
- 130003605847
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- ISSN
- 18819702
- 00409480
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可