プリンおよびピリミジンのアミノ置換体のπ電子状態

書誌事項

タイトル別名
  • π-Electronic Structures of Amino-substituted Purines and Pyrimidines

抄録

すべてのアミノ置換ピリミジンおよびプリン塩基についてVESCF-MO法によるπ電子構造の計算を行ない,π-π*遷移エネルギー,振動子強度,遷移モーメントの方向などへのアミノ置換効果に関する系統的な推察ならびに計算,実測両結果の比較を試みた。非置換体,一置換体の遷移エネルギーの計算値は一般に配置間相互作用を含む計算によって改善されるが,多置換体については配置間相互作用を含まない計算で得られる遷移エネルギーの方が一般に実測値とよい一致を示す傾向のあることがわかった。第一,第二遷移エネルギーの低下におよぼす各位置へのアミノ置換効果の相対的な序列は他の置換基の位置,数には影響されないが,その効果は置換基が多くなるにつれて低下することが予測され,アミノ置換体の遷移エネルギーの実測値の加成性からのずれが説明された。振動子強度,遷移モーメントの方向に対してもアミノ置換は大きな効果を示し,とくにプリンのx1-, x2-吸収の遷移モーメントはモノアミノ置換によって置換基を含む方向に配向しやすいことが認められた。基底状態および最低励起一重項,三重項状態のπ電子分布,フロンティア電子密度,最高被占,最低空軌道エネルギーなどの計算値もアミノ置換にともなういくつかの系統的な効果を反映し,実際の反応性,pka,イオン化ポテンシャルなどの実測値とよい相関性を示すことがわかった。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 92 (2), 118-124, 1971

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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