α-ナフチルグリオキシル酸-(-)-メンチルエステルの不整接触還元ならびにパラジウム触媒の特異性

書誌事項

タイトル別名
  • Asymmetric Catalytic Hydrogenation of (?)-Menthyl α-Naphthylglyoxylate

説明

著者らは接触還元機構解明の一環として,一連のα-ケト酸光学活性アルコールエステルの不整接触還元について研究してきた今回は。α-ナフチルグリオキシル酸(-)-メンチルエステル(I)の還元について報告する。Iを種々の触媒を用いて接触還元し,生成したα-ナフチルグリコール酸(-)-メンチルエステル(II)を加水分解して得られたα-ナフチルグリロール酸(III)の旋光度を測定し,Iの反応時における立体配座と触媒の種類およびその性状との関連について考察した。パラジウム以外の微量の塩基を含む触媒による接触還元ではR(-)-IIIが優位に生成し,パラジウム以外の微量の酸を含む触媒ではS(+)-IIIが優位に得られた。これに対し,パラジウム触媒による接触還元では・触媒中の微量の酸,塩基に影響なくつねにS(十)一一皿が優位に生成した。このように1の接触還元においては触媒中の酸塩基のみならず触媒金属自体によっても不整還元の方向が異なり,パラジウム触媒の特異性が明らかとなった。以上の反応機構をIのヘミケタール化をもとに考察し,R(-)-IIIが優位に生成したのはPrelogの法則のとおりIのα-ケト基とエステルカルボニル基が平面トランス型で反応し,S(+)-IIIが優位に生成したのはシス型で反応したものと考えた。

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被引用文献 (2)*注記

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