カルボニル化合物のオレフィンへの光シクロ付加反応

書誌事項

タイトル別名
  • Photo-cycloadditioRn eactiono f Carbonyl Compounds to OleFins

抄録

脂肪族アルデヒドは,光により容易にフランに付加して1:1付加物のオキセタソ〔2〕を与える・その他のアルデヒド,ケトンも同様にフランに付加するが,一般にアルデヒドはケトソよりも10倍以上の収率でオキセタンを与える。また,二次生成物として2:1付加物もえられ,その構造はX線解析によりanti-構造〔9〕であることが知られた。フラソ誘導体に対するベンゾフェノの光反応も検討され,いずれの場合も置換基の電子的効果に無関係に,置換基のある方に付加したオキセタンがえられた。また,その収量も未置換フラソの場合より大きかった。スチレンに対して脂肪族アルデヒドは光によりオキセタンを生じるが,メチレンシクロアルカンではオキセタソを与えず,付加ケトン,不飽和アルコールなどを与える。一方,ペンズアルデヒドの場合にはメチレンシクロアルカンと反応してオキセタソを与える。このようなオキセタソ生成の反応機構素反応速度定数を決牽するため,代表としてベンゾフユノンとフランの光反応をとりあげ,動力学的に検討した。オキセタン生成は,ビラジカル中間体を含む機構Iを経て起こることを確かめた。さらに,一次的に生成するオキセタンに対する反応も検討し,この場合もビラジカル中間体を含む機構IIIを経て4:1の割合で分解と付加が起こることを見いだした。その分解はビラジカル中間体を経てエネルギーが移動する機構IVを経て起こり,律速段階に含まれる中間体を推定した。フラン誘導体についても,その置換基効果を定量的に論じた。最後に,2-メチル-2-ブテソに対するカルボニル化合物の光化学的諸性質の知見などから,ここでえられた問題点,およびオキセタン生成に関与する因子を考察した。そのおもなものを要約するとつぎのとおりである。<BR>(1)カルボニル化合物のn-π* 三重項状態が関与する(励起カルボニル酸素原子の親電子付加)。(2)ピラジカル中間体を経る。この中間体生成速度は,ある一つのオレフィンに対してはカルボニル化合物に関係なくほとんど同じである。<BR>(3)オキセタン生成は,おもにピラジカル申間体の分解とラジカルカップリソグの比により決定される。<BR>(4)置換基は,おもに電子的効果,エネルギー分散効果としてオキセタン生成に寄与する。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 89 (6), 537-552, 1968

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (6)*注記

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