ピロリン酸の存在下における鉄(II)溶液の自動酸化

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説明

ピロリン酸を含む酸性過塩素酸溶液(pH 2~3)中における鉄(II)の自動酸化反応を吸光度測定法によって研究した。鉄(II)の自動酸化ピロリン酸の存在で非常に促進される。反応速度は<br> -d[Fe(II)]/dt=k(Fe(II))(H2P2O72-)(O2)によって与えられ,速度定数k=3.1×102l3.mol-2.min-2の値が得られた。また反応系における溶存酸素の影響について検討した。脱酸素した鉄(II)溶液を溶存酸素を含んだピロリン酸溶液に加えた場合,鉄(II)の酸化がはじまる前にある長さの誘導期間が認められた。一方脱酸素したピロリン酸溶液に溶存酸素を含んだ鉄(II)溶液を加えたときには誘導期間は認められなかった。<br>このような結果からこの系の自動酸化の開始反応として次式を考えた。<br> Fe(II)-O2+pp+H+→Fe(III)-pp+HO2ただしppはピロリン酸イオンを示す。Fe(II)-O2で鉄はある程度3価の性質をもち, ppは3価と非常に錯体をつめ,反応が右に進行してHO2ラジカルが生成される。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 86 (6), 593-597, 1965

    The Chemical Society of Japan

被引用文献 (1)*注記

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