本邦天然ガス田,油田における堆積岩の放射性元素含量と天然ガス中の希ガスの起源

書誌事項

タイトル別名
  • The Content of Radioactive Elements in Sedimentary Rocks in Oil- and Gas-field in Japan and the Origin of Rare Gases in Natural Gas

抄録

表日本および裏日本の代表として,また水溶性ガス田および構造性ないし石油絆ガス田の代表として,それぞれ南関東ガス田および見附油田とその含油第三系の岩石試料(おもに頁岩)中の放射性元素(ウラン,トリウムおよびカリウム)を定量した。それら存在量,地域差,Th/U比などを世界の一般的傾向と比較して論じた。含有量の平均値は南関東でウラン6.8ppm,トリウム17ppm,北陵でウラン7.2ppm,トリウム22ppm,またTh/U比は,南関東で2.8,北陸で3.2となり,これらの値は世界の黒色頁岩中の値と大差ない。また大きな地域差もみとめられない。つぎにこれらの放射性元素と,ガス相中の希ガスの起源との関係について考察した。南関東ガス出のガス水比,ガス組成からヘリウムは地下で放射性元素から生産蓄積されたものと判断できる。これを基として地下で生産された40Arの全アルゴン量に対する最大の割合は1%以下と計算される。つまり大部分のアルゴンは大気起源である。ただしこの場合いったん大気アルゴンが水に溶解し,それが化石海水として地下に閉鎖され,地下で発生したメタンとともに地上へ湧出した。すなわち大気起源であるが,水を媒介とした溶在ガス起源である。しかし北陸の油田ガス,構造性ガス中のアルゴン,ヘリウムの起源は明らかでない。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 84 (3), 236-236,A17, 1963

    The Chemical Society of Japan

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