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- 九里 政雄
- 東北大学川内東分校
書誌事項
- タイトル別名
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- Reaction of Indole-2-carbamide with Thionylchloride
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説明
有機化合物に対する塩化チオニルの反応がはなはだ多種類の生成物を与えることはSilberradらの総説によって明らかであり,著者はインドール-2-カルボン酸(I)は塩化チオニルによって単に酸塩化物を生じ,スルフィドを生じないのに反し,インドール-2-カルボン酸エチルエステルはビス(2-エトキシカルボニルインドール-3-)スルフィドを生じることを報告した。しかるに塩化チオニルはある種の酸アミドを脱水しニトリルを生じる。すなわちベンズアミドあるいはニトロベンズアミドからそれぞれベンゾニトリルおよびそのニトロ誘導体を,2-エチルヘキサンアミドは2-エチルヘキサノニトリルをいずれも収率よく与えることが報告され,その反応条件はさきのインドール-2-カルボン酸エチルからスルフィドを得たときのそれと近似している。それゆえに著者はインドール-2-カルボン酸アミド(II)に塩化チオニルを作用させてニトリルとスルフィドのいずれを生じるかを検討した。<BR>まずインドール-2-カルボン酸(I)を相当する酸塩化物とし,ついでインドール-2-カルボン酸アミド(II,mp236℃)にかえる。つぎにIIと塩化チオニルとを作用させると,反応時間の長短にかかわりなくつねにスルフィド(III,mp336℃(黒変))を与える。IIの赤外吸収スペクトルを精査すると2200~2300cm-1の範囲においてC≡N伸縮振動に相当する吸収がまったく見られないことからニトリルではない。またIIは加水分解されて相当するカルボン酸(IV)を生じる。標準試料と混融の結果,IVはビス(2-カルボキシインドール-3-)スルフィドである。またIVを相当する酸塩化物とし,つづいて酸アミドに変えたものと同一物質である。以上の事実および元素分析値などからIIはビス(2-カルバモイルインドール-3-)スルフィドであることが確実である。
収録刊行物
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- 日本化學雜誌
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日本化學雜誌 83 (7), 850-851,A5, 1962
The Chemical Society of Japan
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205155402496
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- NII論文ID
- 130003510318
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- ISSN
- 21850917
- 03695387
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可