リン酸溶液中におけるウラン(VI)およびウラン(IV)の電位差滴定 酸化ウランの分析

書誌事項

タイトル別名
  • Potentiometric Titration of U(VI) and U(IV) in Phosphoric Acid Solution Analysis of Uranium Oxides

説明

リン酸溶液中でウラン(VI)およびウラン(IV)を電位差滴定によって定量する方法を研究した。まず,ウラン(VI)については過剰のチタン(III)を加えてウラン(IV)に還元したのち,重クロム酸カリウムで滴定する方法について検討した。チタン(III)の溶液は金属チタンを濃リン酸に加熱溶解して調製したものが,ほとんど空気酸化をうけなくて安定なので使いやすい。還元後重クロム酸カリウムで滴定すると慧電位は二段に変化する。液温が低いと第1終点,すなわち過剰のチタン(III)が酸化される点の電位変化は遅いが,約95℃に加熱して滴定すると電位は急激に変化するようになり終点は明瞭となる。第2終点は液温に関係なく明瞭である。ついで,試料を濃リン酸に溶解してウラン(IV)を重クロム酸カリウムで直接滴定する方法を検討した。金属ウランおよび化合物中のウラン(IV)は濃リン酸に加熱溶解すると定量的に4価のイオンとなって溶ける。濃リン酸に溶かして希釈した溶液を滴定するとき加熱するとウラン(IV)のごく一部が空気酸化をうけるので,滴定は常温で行なう方がよい。<BR>以上検討した2方法を併用すれば試料中のウラン(IV)とウラン(VI)とを一連の操作によって定量できる。すなわち試料を濃リン酸に溶解し,重クロム酸カリウムでウラン(IV)を滴定したのち,引きつづいてチタン(III)を加えて還元し再度滴定して全ウランを定量する。ウラン(VI)はこれらの差として求められる。酸化ウランの分析を行ない良好な結果を得た。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 85 (1), 40-44,A3, 1964

    The Chemical Society of Japan

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